アニャ・テイラー=ジョイ出演作感想 『ミニチュア作家』『Here Are The Young Men』『ノースマン 導かれし復讐者』

アニャ・テイラー=ジョイ

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大人気女優のアニャ・テイラー=ジョイ。『クイーンズ・ギャンビット』などさまざまな作品に出演しているアニャだが、今回はダークな3作品の感想を書く。モロではないが少しのネタバレはあるので、まだ見ていない方はご注意を。

ドラマ『ミニチュア作家』

予告。英語音声・英語字幕のみ

『ミニチュア作家』の基本情報

2017年、イギリスBBC製作サスペンスドラマ。イギリスでは全2話で、アメリカでは全3話で放映。原作はジェシー・バートンの同名小説。日本ではAXNミステリーチャンネルで2018年に、BS11で2022年に放送された。

『ミニチュア作家』のあらすじ

没落した名家の娘ネラは家の借金を返すため、裕福な商人ヨハネスの妻となり、彼の屋敷があるアムステルダムへ向かう。ところが、ヨハネスの妹マリーンはネラに冷たく接し、ヨハネスも夜を共に過ごそうとしない。ヨハネスは結婚のお祝いにネラにドールハウスを贈る。ネラはミニチュア作家に家具や小物を3点注文するが、頼んでいない家具や人形が届くようになり……

『ミニチュア作家』の感想

アニャがまとう美しいコスチューム、家具や小物などが生み出す雰囲気がすごくすてきなので、ハッピーエンド寄りにしてほしかった。

前半、特に1話はサスペンスとして文句なしにおもしろかった。終盤になるにつれてネラがかわいそうなくらいダークな展開になっていく。ネラは精神的に強くなっていき、距離があったマリーンやメイドたちとの絆のようなものが生まれていくけれど、悲劇が重なってつらすぎる。もうちょっとポジティブさがほしかった。

ヨハネスとネラに友情のような関係が芽生えていたけど、冷静に考えるとヨハネスはダメンズに見えてしまう。それにあの赤ちゃんはどうなるの?オットーがお父さんだってすぐにわかってしまう。

当時は厳しい時代だった、自分で道を切り開かないといけないというメッセージ性はあるかもしれないけど、とにかく悲しい。そのへんは、アニャがかわいい、コスチューム似合いすぎ、アニャがとにかくかわいいとかだけでは乗り越えられないよ。

ネラがヨハネスに拒まれているのを見て、ああ、これは「なろう」によくある契約結婚ものみたいな展開で、ネラが暇な時間に一生懸命頑張ってミニチュア作家になるんだな、と思ったら全然違った。でも、ラストである意味それが始まる。マリーンの助けもなく、ヨハネスの代わりに商売をする(何かに熱中する)ことで、ネラが自立して家族を養っていくのだ。

あまりにも暗い展開に悲しくなってしまったが、アニャやコスチュームの美しさは必見だし、一見の価値があるドラマだとは思う。

日本語字幕で見たい人、見直したい人も多いだろう。BS11や各配信サービスにリクエストを送っておいた。数が多いほど検討されるチャンスも増えるだろうから、日本語字幕で見たい人はぜひリクエストを。

映画『Here Are The Young Men』

予告。英語音声・英語字幕のみ

『Here Are The Young Men』の基本情報

2020年公開、1時間36分、製作国:アイルランド・米国。

日本未公開。原作はロブ・ドイルの同名小説

『Here Are The Young Men』のあらすじ

2003年のアイルランド・ダブリン。高校を卒業したばかりのマシュー、カーニー、レズの3人は、酒やドラッグに明け暮れている。ある日小さな女の子が車にひかれて死ぬのを目撃して以降、3人はトラウマを抱え、変化し始める。マシューは生の価値を意識し出し、レズはうつ状態となって自殺を図り、カーニーはより暴力的になっていった……

『Here Are The Young Men』の感想

原題の『Here Are The Young Men』は「若者たちの姿」というような意味で、ダークな青春映画だ。悪い友だちとは付き合ってはいけない。

10代の少年が破壊行為や暴力行為を行う姿が見ていてつらかったので、正直何回も見るには重かった。それは暴力的なカーニーのせいなのだが、演じるフィン・コールがうまかったと言えるだろう。主役のマシューを演じたディーン=チャールズ・チャップマンも、常識的なのに流されやすい性格を上手に演じていた。カーニーの精神や暴力性を描く奇抜な演出が成功だったのかは微妙だったが、ラストのややあいまいな描写は余韻を残した。

アニャはマシューの彼女のジェン。ジェンは賢いが、どこにでもいそうな雰囲気の女の子だった。Joy Divisionの「She’s Lost Control」を歌うシーンはツインお団子ヘアがかわいかった(上の予告編にもチラチラっと映ってるし、YouTubeにもアップされている)。

おそらくはマーケティング上の理由でアニャが強調されているが、アニャはあくまでも助演である。撮影開始は2018年なのでアニャは22歳。

重厚感のあるランダートン先生役はラルフ・アイネソン。どこかで見たことあると思ったら『ウィッチ』でアニャのお父さん役だった。あのダメなお父さんだよ。(アニャと同じ場にいるシーンはなし)

フィン・コールはTVドラマ『ピーキー・ブラインダーズ』(シーズン5、6、2019~22)でもアニャと共演している(インスタ)。2025年現在、女優のフローレンス・ピューの恋人と噂されている。

映画『ノースマン 導かれし復讐者』

『ノースマン 導かれし復讐者』の基本情報

原題:The Northman、2022年米国公開、2023年日本公開、2時間16分、製作国:米国、

『ウィッチ』のロバート・エガース監督の歴史アクションスリラー。

『ノースマン 導かれし復讐者』のあらすじ

西暦895年。王オーヴァンディルが北大西洋にある小さな島に帰還する。外国での戦いで負傷した王は、王子アムレートへの王位継承の準備を始める。アムレートは儀式で、もしも父王が殺されたら仇を討つことを誓う。儀式の帰り道、王の弟フィヨルニルがクーデターを起こし、王の命を奪って王妃を自分のものにする。なんとかその場を逃げたアムレートは島から脱出し、父の仇を討って母を救うことを心に誓う。数年後、ヴァイキングの戦士となったアムレートは、フィヨルニルが島を奪われアイスランドで暮らしていることを知り、フィヨルニルの元へ復讐に向かう……

『ノースマン 導かれし復讐者』の感想

136分を一気に見せる力をもつ作品だった。グロは苦手なので何回もは見れない。でも、「復讐」をテーマにした強烈な作品であることは間違いない。北欧神話を下敷きにしているので、マーベルの「マイティ・ソー」シリーズを見ていてよかった。ちょっとはなじみのある言葉が出てきた。

アニャは奴隷として売られたが、強い意思をもってアムレートを助けるオルガを演じている。明らかに過酷なシーンが多かったが、アニャは喜んで演じているらしい。嵐の中で船に揺られたり海を歩いたり、大自然のシチュエーションだらけだった。アニャはデビューしてから2025年現在に至るまで約30本の作品に出演しているが、拘束時間も長いし大変だろうと思う。でも、芝居の仕事が本当に好きなんだろうな。

エガース監督は2015年公開の『ウィッチ』の主役にアニャを抜擢した監督だ。今作のオルガはアニャをイメージして当て書きしたそう。アニャについては「現実感のある演技もでき、幻想的な雰囲気も出せる」と評価している。アニャがスケジュールの都合でエガース監督の『ノスフェラトゥ』を降板したことは残念だったが、監督とアニャとはクリエイターとして相思相愛な感じなので、今後のコラボも十分に期待できる。エガース監督の現代ホラーも見てみたい気がするが。

ところで、アニャはなぜか、作品の中のほうが人間味があるように見える。インスタや雑誌のカバー、プロモーション動画などでは、まるでお人形さんのように美しすぎる。本作のオルガも、『ミニチュア作家』のネラも『Here Are The Young Men』のジェンも、美しいのだが美しすぎることはない。だからこそいい。反対に下のプロモーション動画などは、メイクやヘアスタイルの違いもあるが、美しすぎる。自然体のアニャのほうがお人形さんみたいなのはなぜだろうね。

監督が当て書きしてくれたことについて喜ぶアニャ

まとめ

アニャ・テイラー=ジョイが出演するダークな3作品。アニャの魅力は作品ごとに異なり、『ミニチュア作家』では17世紀の世界の中で奮闘する美しさ、『Here Are The Young Men』ではしっかり者の彼女の頼もしさ、『ノースマン』では虐げられる中でも負けない芯の強さを見せている。そのうち『ミニチュア作家』と『Here Are The Young Men』は、2025年現在日本では(日本語では)見れない状態となっている。配信サービスにぜひリクエストを!

参考サイト:Rotten Tomatoes Business Insider Screen Rant ロブ・ドイル公式

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